防衛増税とは、防衛費の増額に必要な財源を確保するために、税金の増税を行うことです。
2022年12月、政府は防衛費をGDP比2%程度まで引き上げることを決定しました。そのためには、2027年度までに約3.7兆円の追加財源が必要とされています。
この財源確保のために、政府は法人税、所得税、たばこ税の増税を検討していました。法人税は、大企業を対象に税額に4.0~4.5%の付加税を課す案が検討されていました。所得税は、給与所得者を対象に10%の増税を検討されていました。たばこ税は、1本あたりの税額を25円から30円に引き上げる案が検討されていました。
しかし、2023年7月に、自民党税制調査会は、2024年度の防衛増税を見送る方針を決定しました。その理由として、2022年度の決算剰余金が想定を上回ったこと、新型コロナウイルス感染症の収束に伴う景気回復が見込まれていることなどが挙げられました。
したがって、現時点では、防衛増税が実施されるかどうか、また実施される場合はどのような税金の増税が行われるかは、まだ決まっていません。
ただし、政府は防衛費の増額を進めていく方針であり、そのための財源確保が必要であるため、今後も防衛増税の議論が続くことが予想されます。
防衛増税のメリット、デメリットを説明してください。
防衛増税のメリットは、以下のとおりです。
- 防衛力を強化し、日本の安全保障を守ることができる。
- 防衛産業の活性化につながる。
- 軍事力による国際的なプレゼンスを高めることができる。
一方、デメリットは、以下のとおりです。
- 国民の負担が増加する。
- 経済成長を阻害する可能性がある。
- 軍拡競争を招く可能性がある。
防衛増税のメリットとしては、まず、日本の安全保障を守ることができる点が挙げられます。現在の日本の防衛費は、GDP比0.9%程度であり、NATO加盟国の平均であるGDP比2%を大きく下回っています。防衛費を増額することで、日本の防衛力を強化し、中国や北朝鮮などの軍事的脅威から日本を守ることができるようになります。
また、防衛増税は防衛産業の活性化にもつながります。防衛費の増額に伴い、防衛装備品の調達や整備の需要が増加するため、防衛産業が拡大することになります。これにより、雇用創出や技術開発の促進につながる可能性があります。
さらに、防衛増税は軍事力による国際的なプレゼンスを高めることにもつながります。日本の防衛力が強化されることで、日本は国際社会においてより重要な存在となることができます。
一方、デメリットとしては、国民の負担が増加する点が挙げられます。防衛増税には、法人税や所得税、たばこ税などの増税が考えられており、国民の可処分所得が減少する可能性があります。また、経済成長を阻害する可能性があることも懸念されています。防衛費の増額は、政府の財政負担を増加させるため、民間投資や消費の抑制につながる可能性があります。
さらに、防衛増税は軍拡競争を招く可能性があることも指摘されています。日本の防衛力が強化されることで、周辺国の軍備増強を招く可能性があるためです。
このように、防衛増税にはメリットとデメリットの両面があり、慎重に検討する必要があると考えられます。