最近、行政手続きに関わることが続いた。
昨年の確定申告もそうだったが、直近では高齢の母の戸籍を地方から取り寄せるという、少々骨の折れる作業を行っていた。母は過去に何度か転籍を繰り返しており、その履歴を追うために古い除籍謄本まで遡る必要があったのだ。
こうした手続きは、今やスマートフォン一つで完結できる時代になった。マイナポータルアプリを開き、マイナンバーカードをかざし、申請画面へ進む。確かに便利だ。役所の窓口まで出向く必要がないし、切手代もかからない場合が多い。
しかし、実際にやってみるとわかるが、スマートフォンの画面ですべてを完結させるのは、正直なところ「しんどい」。
昨年の確定申告の際も感じたが、小さな画面で源泉徴収票の数字を間違いなく入力したり、複雑な住所地をフリック入力したりする作業は、眼精疲労と肩こりを招くだけだ。特に入力項目が多い場合、スクロールを繰り返しながらの確認作業は集中力を削ぐ。やはり、情報の閲覧や入力といった作業は、PCの大きなモニターと物理キーボードで行うに限る。
そこで次回の手続き(おそらく来年の確定申告か、あるいはまた別の行政手続きか)に向けて、PCで作業を完結できる環境を整えようと考えた。
ICカードリーダーは本当に必要なのか
PCでマイナンバーカードを使った手続き(e-Taxやマイナポータルへのログイン)を行う場合、真っ先に思い浮かぶ障壁が「カードの読み取り」だ。
PCには通常、ICカードリーダーが内蔵されていない。そのため、Amazonなどで専用のリーダーを購入する必要があると考えていた。
調べてみると、定番と言われるソニーの非接触型リーダー「PaSoRi(パソリ)」などは、だいたい3,500円から5,000円程度で販売されている。もっと安価な、カードを差し込むタイプの接触型リーダーであれば1,500円程度から手に入るようだ。
業務で毎日使うのであれば、迷わずPaSoRiを買うだろう。デスクに置いておけば、Suicaの残高確認などにも使えるし、安定性は抜群だ。しかし、私の用途は「年に数回あるかないかの行政手続き」のみである。
その数回のために、数千円を出し、デスクの上に新たなガジェットを増やすのは合理的ではない気がした。モノを増やさず、コストもかけず、それでいて入力環境だけを改善したい。
そう考えていたところ、実は「PC用のICカードリーダーは買わなくても良い」という事実にたどり着いた。正確には、手持ちのスマートフォンがその代わりになるということだ。
スマホを「認証デバイス」として使う
仕組みは単純だ。
- PCのブラウザで申請画面(e-Taxやマイナポータル)を開く。
- ログイン方法の選択で「QRコードでログイン」を選ぶ。
- PC画面に2次元バーコードが表示される。
- 手持ちのスマートフォンでマイナポータルアプリを立ち上げ、そのバーコードを読み取る。
- スマートフォンにマイナンバーカードをかざし、パスワードを入力する。
- 認証が完了すると、PC側の画面が自動的にログイン状態に切り替わる。
つまり、「入力と閲覧はPC」「認証だけスマホ」という役割分担だ。これならば、リーダーを購入する必要はない。
実際の使用感とメリット
この方法は、「PCでの作業効率」と「スマホの手軽さ」のいいとこ取りと言える。
まず、圧倒的に入力が楽だ。キーボードを使えるので、住所や氏名、あるいは金額の入力ミスが激減する。複数のウィンドウを開いて、資料を見ながら入力することも容易だ。母の戸籍請求の際も、PCであれば複雑な地番や日付の確認がもっとスムーズだっただろうと思う。
そして、認証の際もストレスがない。私は現在、Galaxy S25 Ultraを使用しているが、読み取り感度は非常に良好だ。PC画面のQRコードをカメラで捉え、カードを本体背面に当てるだけ。一瞬で認証が終わる。
以前、安価な接触型ICカードリーダーを使っていた時期もあったが、あれは意外とトラブルが多い。端子の接触が悪かったり、ドライバのインストールがうまくいかなかったりと、手続きの本質以外の部分で時間を取られることがあった。
それに比べ、スマートフォンを使う方法は、OSやアプリがつねに最新の状態にアップデートされているため、接続トラブルが少ないように感じる。何より、追加の機材が一切不要で、今すぐ始められるのが最大のメリットだ。
どちらを選ぶべきか
もちろん、専用のリーダーを購入したほうが良いケースもある。
- 専用リーダー(PaSoRi等)が向いている人
- 税理士や経理担当など、業務で頻繁にマイナンバーカードを読み取る必要がある。
- スマホの操作(アプリの起動やQR読み取り)が面倒、または苦手。
PC作業中にスマホを触りたくない。
スマホ代用(今回の方法)が向いている人
- 確定申告など、手続きは年に数回程度。
- 無駄な出費は抑えたい(0円で済ませたい)。
- デスク周りにモノを増やしたくない。
- PCのキーボード入力の効率性は捨てがたい。
私の場合は、完全に後者だ。
まとめ
行政手続きのデジタル化は進んでいるが、UI/UXの観点ではまだ発展途上な部分も多い。特にスマートフォン一つですべてを完結させようとすると、画面の小ささゆえの非効率さに直面する。
「PCでやりたいが、リーダーがない」という理由だけで、無理をしてスマホで入力を続けている人がいれば、ぜひこの「スマホをリーダー代わりにする」方法を試してみてほしい。
次回の確定申告、あるいは急な公的書類の請求が必要になった際、私は迷わずPCを開くつもりだ。Galaxy S25 Ultraは単なる通信機器ではなく、優秀な認証デバイスとしてデスクの脇に控えてもらうことになる。
結局のところ、ツールは適材適所だ。入力はキーボード、認証はスマホ。この使い分けこそが、現代の面倒な行政手続きを、もっとも淡々と、かつ効率的に処理する最適解なのだと思う。

